休業手当と最賃、使用者の責めに帰すべき事由について(雇用調整助成金)
※下記は旧様式での記事となっております。5/19で様式変更されておりますので、最新情報をご確認ください。
労働の基本はノーワークノーペイですが、今回のコロナについてはどう考えれば良いのか、弊所の現時点での見解です。
労基法の休業手当は、「使用者の責めに帰すべき事由」による休業の場合は6割以上の休業手当の支払いを必要としています。
休業手当に最低賃金は適用されるのか・・・
今回のコロナに関しては、天災ともいえそうな事態となっていますが、どこまでが「使用者の責めに帰すべき事由による休業なのか」があり、また「休業要請や休業命令」との関係というのもあります。
労働基準監督官はどこで判断するのでしょうか・・・
まず、「休業手当と最低賃金」について。
6割の休業手当を支払ったとしても、最低賃金を割る場合どうなるのか・・・
結論から言うと、ベースとなる時給が最賃をクリアしてさえすれば、休業手当を時給に落とし込む必要がない(仮に時給に落としこんだ結果、最賃割れしたとしても問題ない)です。
これについては、時給と日額、労働の対価か否かに着目します。
賃金の原則はノーワークノーペイ。休業手当はノーワークペイです。最低賃金は、労働時間に対する時給で考えられ、休業手当はノーワークに対する日額支給となります。
つまり、役務提供が無い日額が休業手当ということになるので、最賃を割るかどうか、休業手当をそもそも時間に割り込む必要性がありません。
また、そもそも労働(役務提供)が無いので労働時間がありません。
よって最賃は、ベースとなる時給さえクリアしていれば、最賃を考える必要はありません。
次に、「使用者の責めに帰すべき事由」について。
これは、外的要因の範囲、地域の状況、雇用維持(解雇回避)等の企業対応で考えられ、どこまで尽くしたかは、所轄で判断されることになります。
たとえばテナントとして入っているモールやデパートの休館に伴う休業(モールやデパートも同様)。
これについては、他の就業場所があるかどうかといった視点や、他業務への異動などの視点があります。
民法は10割ですが、賃金は生活給であることから強行法規である労基法で最低限の6割を規定し、即座の支払いを担保させている面があります。
これに対し、行政介入(指導)できる立場にあるのが所轄の労働基準監督官です。
労働基準監督官は、その地域や業態の「休業要請や休業命令」を勘案し、対象事業所が就業させることができない状態(対象労働者が就業できない状態)かどうか、総合的に判断します。
一時解雇の問題や、そもそも何のための雇用保険制度なのかがありますが、
解雇回避努力については、今後、雇用調整助成金の申請を検討したかどうかは、論点になっていくのではないかと考えます。その際、社会保険料の会社負担免除は同時に検討すべき課題になるのだと考えます。
シンクタンク岡事務所